学習指導要領と海洋教育

幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号) 補足資料(1/8)より

2017年3月に、文部科学省より新しい学習指導要領が公示されました。これは、変化が激しくますます多様で複雑化していくこれからの社会において、子どもたちがしっかりとした「未来対応」の力をつけていくために考えられた教育課程の基準です。そこでは、子どもたちに育成する力が、新しい時代に必要となる「資質・能力」として、次の3つに整理されています。

  1. 生きて働く知識・技能
  2. 未知の状況にも対応できる思考力・判断力、表現力
  3. 学びに向かう力、人間性

このような「資質・能力」の育成は学校が中心となりつつも、そのめざすところを地域や社会の人々と共有・連携しながら実現させることが大切です。特徴ある地域の自然や歴史は、学校と地域・社会をつなぐ大切な学習材となります。
海に囲まれた我が国において、「海と人との共生」という理念を掲げる海洋教育は、このような学習指導要領の目指すところと方向性が合致しています。海の豊かな自然に親しみ、海について興味・関心を持ち進んで調べ、海の利用の実態やその歴史について深く学ぶとともに、海を守る心を育み、保全の態度を涵養することは、海洋教育を通して子供に育成することができる大切な「資質・能力」といえます。また、教科の学習や総合的な学習における子どもの学びと関係づけるとともに、地域の人や社会と連携し、そこでの自然や歴史を貴重な素材として取り上げ教材開発を行うことは、まさに海洋教育がこれまでやってきたことです。
新学習指導要領は2020年度より実施が始まりました。海洋教育もまた、子どもの資質・能力の育成を図るとともに、「社会に開かれた海洋教育」として一層の研究開発を行っていきます。

  • 【イベント案内】2023/11/2オンライン講演「クリマハウスー気候体験ミュージアム」

    海洋教育センターでは、2023年11月2日にオンライン講演会「クリマハウスー気候体験ミュージアムとは何か」を開催いたします。

    ドイツの港町ブレーマーハーフェンには「クリマハウス」(気候Klimaの館Haus)があります。巨大な船を彷彿とさせるその外観は人々の目を引きつけます。あえて言えば「気候体験ミュージアム」です。しかし、それでは正確にこの施設の性質を言い表したことにはなりません。それでは一体なんなのか。オンラインにて、クリマハウスの科学ハウスコミュニケーション特別専門員のネーレ・マイヤー氏の報告を聴きます。

    海洋や陸地の教育、気候変動に関する教育に関心のある方はぜひご参加ください。

    【概要】

    日時:2023年11月2日(木)18:00〜19:30

    催物:オンライン講演(Zoomウェブナー)

    内容:
    ・開会の挨拶:勝野正章(東京大学教育学研究科・研究科長)
    山名 淳(海洋教育センター・センター長)
    ・講演:ネーレ・マイヤー氏(Frau Dr. Neele Meyer:クリマハウス・ブレーマーハーフェン、科学コミュニケーション特別専門員)
    ・質疑応答
    ・閉会挨拶:茅根創(海洋教育センター・副センター長)

    参加費:無料

    要事前申込:https://forms.gle/SYjfNsqec9e4es3w9
    ※ご登録いただいた方には、当日までにウェビナー情報をメールでお伝えします。

    申込締切日:11月1日23:59までお申し込みを受け付けます。

    ※講演部分は英語(日本語字幕スーパー付)で、質疑応答は英語、ドイツ語、もしくは日本語(通訳付)で行います。

    お問い合わせ先: 東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター
    〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
    MAIL: klimahausproject@gmail.com

    謝辞:本ポスター掲載の写真および図は Klimahaus Bremerhaven にご提供いただきました。 この場を借りて御礼申し上げます。

  • 2023年度海洋教育センターの体制について

    2023年度海洋教育センターは、以下の体制にて研究教育活動を行います。

     

    センター長 山名淳(兼任 情報学環・学際情報学府/教育学研究科 教授)

    副センター長 茅根創(兼任 理学系研究科 教授)

    特任講師 田口康大(兼任 一般社団法人3710Lab 代表理事

  • 【イベント情報】第11回海洋教育こどもサミットin気仙沼 (2022/11/25)

    2016年からはじまった「海洋教育こどもサミット」。これまでの海洋教育のイベントでは、教育者や研究者など「大人」の発表やディスカッションがほとんどでした。しかし、海とともに生きるのは大人ばかりではありません。未来に生きるのは子供たちです。そこで、子供たちが主体となったイベントを行おうと、東京大学、日本財団、岩手県洋野町、宮城県気仙沼市とで協議して、開催されたのが「海洋教育こどもサミット」です。

    第11回大会となると今回は、宮城県気仙沼市が主催となり、海について学ぶ探究や実践の成果を児童・生徒が発表し、自己の考えを他者に伝え多様な考えに出会い、一人一人の課題意識と多角的・多面的思考を深めながら、子供主体の学び合いの輪を広げるきっかけとして開催されます。海洋教育パイオニアスクールプログラム(地域展開・アドバンス部門)の一環として、その成果の発表も行われます。

    8グループに分かれての「実践発表・学び合い」に加えて、「未来で『海と生きる』ために必要なこと・もの」について考えを深めていくプログラムが行われます。この「深め合い」のプログラム内容は、東京大学海洋教育センターと一般社団法人3710Labとの協働により開発されたものです。未来で「海と生きる」ために、これから自分たちが何にどう向き合い関わるか対話を深めていく内容となっています。

    「第11回海洋教育こどもサミットin気仙沼」に、ぜひご関心お寄せください。

     

    ————–開催要項————–

    開催概要

    期 日  令和4年11月25日(金) 13:10 ~ 16:00

    主 催  気仙沼市教育委員会

    共 催  気仙沼ESD/RCE推進委員会

    岩手県洋野町教育委員会,福島県只見町教育委員会,山形県鶴岡市教育委員会

    参加校   1 宮城県気仙沼市

    鹿折小学校,唐桑小学校,大島小学校,面瀬小学校,九条小学校,中井小学校,

    階上小学校,大谷小学校,松岩小学校,小泉小学校,階上中学校,面瀬中学校,

    唐桑中学校,大谷中学校,気仙沼高校,気仙沼向洋高校

    2 岩手県洋野町

    種市小学校,林郷小学校,角浜小学校,帯島小学校,中野小学校,宿戸小学校,

    向田小学校,大野小学校,種市中学校,大野中学校,中野中学校

    3 福島県只見町

    只見小学校,朝日小学校,只見中学校

    4 山形県鶴岡市

    大山小学校,加茂水産高校

  • 【公開案内】アニメーション映像『海―いのちをめぐる旅』

    海洋教育センターでは、2019年にアニメーション映像『海―いのちをめぐる旅』を制作しました。地球の多様な生命のつながりを巡る旅を通して、広大な海の秘密を探りながら、海と私たちとの深いつながりを描き出す物語です。

    2019年より授業等での活用に限って限定的に公開してきましたが、この度、より多くの方々に視聴していただきたく、公開することとしました。世界をとりまく海に思いをはせ、海と自分たちのつながりを意識し、海へ関心を向け、環境問題を自分ごととして捉える視点を得るきっかけとしてもらえますと幸いです。

     

     

     

    【アニメーションの概要】

    『海―いのちをめぐる旅』

    2019年制作 15分

    監督:大桃洋佑

    制作:株式会社クラフター

    企画・監修:東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター・日本財団

    文部科学省選定映像

     

    【映像について】

    本アニメーション映像においては、センタースタッフによる監修を行なっていますが、生物の動きなどを簡略に描いている部分がございます。視聴にあたっては何卒ご了承ください。

     

    【本件に関するお問い合わせ】

    東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター 担当:田口康大

    Mail: cole-info(at)p.u-tokyo.ac.jp ((at)を@にかえてください。)

  • 【公開案内】映像シリーズ作品『プラネット・ブルー』

    東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター(COLE)は、日本財団との共同製作によるオリジナル映像シリーズ作品『プラネット・ブルー』を2021年7月21日(水)に公開しました。

    本作は、地球上の海洋の起源に遡り、最先端の自然科学研究の知見を紹介しながら、現代的課題とのかかわりも含めて海洋を総合的に描く映像シリーズ作品(全6作)です。中学生を主対象に、子どもから大人まで楽しめるドラマ仕立ての作品に仕上がっています。

     

     

    地球の海の水は、いつどこから来たのでしょうか。海が38億年前に誕生してから、その姿はいつも同じだったのでしょうか。海は私たち生命の誕生といのちの連鎖と、どのようにかかわっているのでしょうか。そしてこれから、私たちが海とともに生きていくために、何をどのように問うことができるのでしょうか。

     

     

    各作品では、海をめぐる様々な謎と問いに焦点をあてています。どの謎と問いも現代と未来の海へ繋がっています。

    例えば、地球が過去に丸ごと白く凍ったという「スノーボールアース」の仮説が登場したのはわずか30年ほど前のこと。また、2020年12月に帰還した「はやぶさ2」(JAXA)のプロジェクトから地球の水の起源がどの程度わかるのかは、たった今、取り組まれている問いです。同時に、地球温暖化や環境汚染などの環境問題もまた、私たちが今直面している課題です。

     

     

    『プラネット・ブルー』全6作を通じて、私たちにとってかけがえのない海の様々な姿や謎を感じてみてください。海の過去を振り返り、今まさに研究が進む様々な謎を紐解く6つの旅が、みなさまお一人一人の「海と私たちの未来を考える旅」へもつながっていくことを願っています。

     

    『プラネット・ブルー』各作品の視聴について

    ※下記タイトルをクリックすると本サイト内の作品ごとの視聴用ページに飛びます。

    第1作「海という奇跡

    第2作「謎に包まれた海の起源

    第3作「宇宙から知る海

    第4作「白い海の謎

    第5作「海がつくる環境

    第6作「人類と海

     

    作品情報

    • 企画・製作:東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター 日本財団
    • 監修   :東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター 茅根創(第1・6作) 橘省吾(第2・3作) 田近英一(第4・5作)
    • 制作会社 :株式会社千代田ラフト
    • 出演者  :石井心寧(アオイ役) 赤石考(リテ役)
    • プロデューサー :小室崇
    • ディレクター  :グボグロ イリナ(第1・2作) 河野達哉(第3・6作) 新埜七菜実(第4・5作)

     

    本作についてのお問い合わせ先

    東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター

    特任研究員 梶川萌(kajikam@p.u-tokyo.ac.jp)

    ※新型コロナウイルス感染症対策の一環とした在宅勤務を実施中のため、メールによるお問い合わせにご協力ください。