ご挨拶

センター長
情報学環・学際情報学府/教育学研究科
山名 淳(Jun YAMANA)

「海洋教育」は「海と人との共生」を基本的な理念として掲げて展開します。私たちが「海とともに生きる」ために「海と親しみ、海を知る」こと、またそこで得られる知識技能、思考力、判断力、表現力を用いて「海を守り、利用する」ことができる教育とはどのようなものであるか。本センターでは、関心を共有する方々とともにそのことについて考え、具体的な活動を行ってまいりました。

自然と人と文化がグローバルに繋がる現代社会では、「世界」という視点をもつことがますます大切になっています。しかし、「世界」はサイズが大きく、抽象的で、うまく把握することがむずかしいものでもあります。そうしたなかで、「海と水」は具体的に私たちの目の前にあるものでありながら、同時に地球規模の環境へと連なっているものでもあります。「海と水」という主題に触れることで「世界」を知り、また感じるきっかけとなることを、私たちは期待しています。

海洋は人間にとっての自然環境の豊かさを象徴するものですが、また同時に、私たちが直面している気候変動のような地球規模の問題と密接にかかわるものでもあります。そうした問題に接近するために海洋教育は何ができるのか。教育の領域は、家庭から学校、ミュージアム、またそれらを覆うデジタル情報環境に至るまで多様です。国内外の動向に目を開きながら、さまざまな教育の場の可能性を追求してまいります。ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

副センター長
大学院理学系研究科 教授
茅根 創(Hajime KAYANNE)

海洋教育センターのミッションは、初等中等教育における海洋教育を促進することです。初等中等教育における海洋教育の促進とは、教科を離れてひととき海の魅力を知る機会を与えることでも、一握りの海洋研究者を育てることでもありません。1千万人の小中学校の児童生徒、300万人の高校生に等しく教えるべき教育内容を精選し、さらに100万人の教員の方々にカリキュラムを用意しなければなりません。

このミッションは、平成29年の小学校・中学校学習指導要領の改訂で、海洋教育の充実が謳われたことによって、一部達成されました。しかし改訂は、社会科の主に領土・領海の記述の充実であり、私たちが目指す、生命、環境、安全という3つの柱からなる海洋教育のうち、安全の一部でしかありません。真の意味での海洋教育を、我が国のすべての学校で実現していくために、私たち海洋学の専門家と教育学の専門家が、現場の教員と協働して引き続き活動してまいります。