【インタビュー記事】Ocean at Risk 03「海面上昇」鈴木立郎

海面上昇で島国も都市も危機的な状況。一人ひとりの行動と予測精度の向上が急務

地球温暖化が進めば、最悪の場合、2100年までの間に80cmも海面が上昇し、海抜の低い島国や地域は水没の危機に瀕してしまう。では、この海面上昇はどのようなメカニズムで生 じているのか。マクロかつ客観的にこの現象を捉えることで、あらためて一人ひとりがどのような心構えを持つべきか考えたい。


まずは海面上昇のメカニズムからお話しいただけますか。

鈴木立郎|海面上昇の原因となるのは、主に海水の温度上昇による膨張と氷河氷床の融解とされています。また、近年の変化にかぎればどちらかといえば海水の膨張によるインパクトのほうが大きく、20°Cの海水温が1°C上昇するだけで、海水の体積がおよそ0.025%も膨張するため、海面から水深500mまでの範囲が2°C上昇すると、海面水位は25cm上昇します。

地球温暖化によって海水が温められることで、海面水位の上昇が生じるのでしょうか。

鈴木|それも要因となるのですが、実際の島国や沿岸地域の変動には、さまざまな要因が絡み合っています。そもそも、海面水位の変動は大気から海洋への熱吸収と海洋大循環に密接に関係しており、このふたつがそれぞれ海面上昇に影響を与えています。

 


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