【インタビュー記事】Ocean at Risk 06「海洋生物」遠藤一佳

地球が6度目の「大量絶滅」の危機に瀕している今こそ海洋生物の神秘と多様性を学ぶことが重要

現在、地球は短期間に全生物種の 75%以上が姿を消すという「大量絶滅」の危機を迎えており、海洋生物の多様性も著しく損なわれつつある。あらためて生物の尊さを学ぶためにも、分子古生物学の視点から海洋生物の神秘と多様性を紐解くことが求められている。


先生が実施している研究内容についてお聞かせください。

遠藤一佳|古生物のなかでもシャミセンガイをはじめとした腕足動物(約5.4億年前〜2.5億年前の古生代と呼ばれる時代に海洋底で大繁栄していた二枚の貝殻を持つ無脊椎動物)に着目し、そのDNAに刻まれた情報を最大限に活用し、地球と生物の相互作用の歴史である「進化」を紐解く研究をしています。たとえば、その一環として現存するシャミセンガイのDNAや化石記録を調べたり比較したりすることで、その進化の過程を明らかにする研究に取り組んでいます。

そういった研究からどのようなことが判明してきましたか。

遠藤|地球の動物は約 5.4 億年前の「カンブリア紀の爆発」の時に爆発的に進化したといわれており、腕足動物もまたその時期に誕生したことがわかっています。ただ、もともとは現存するほとんどの動物のグループがこの時に成立したと考えられてきましたが、実はそれ以前の原生代(約 25 億年前〜5.4 億年前)の後半からカンブリア紀にかけて祖先的な動物が誕生したことが明らかになってきました。とはいえ、それまでは目も消化器官も貝殻も持たなかった生物がカンブリア紀前期の短い期間に、現在の動物に見られる多様なボディプランを確立させたのは間違いありません。

 


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