【開催報告】第9回全国海洋教育サミット(2022/2/11)
2022年2月11日(金・祝)、東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターは、日本財団との共催にて、「第9回全国海洋教育サミット―海洋教育の10年 これからとこれまで」をオンラインで実施いたしました。当日は全国より約500名の参加がありました(オンラインのため正確な人数は未確定)。
実践・研究発表では、幼稚園から高等学校までの教育機関、教育委員会、社会教育施設、研究者など様々な立場から、全国の海洋教育実践について計50件の発表がありました。また今回のサミットでは、オンライン開催により適したプログラムを模索し、小・中学校を対象とする午前の部、高等学校・一般を対象とする午後の部の2部制としました。これによって、それぞれの発達段階や学びのねらいにより即した全体会の設定が可能となりました。以下では、午前の部・午後の部の全体会の様子をご紹介します。
※第9回全国海洋教育サミットの概要はこちらをご覧ください。
※各実践・研究発表の詳細は要旨集よりご確認ください。(新規タブが開きます)
午前の部 全体会「海洋教育のこれからの10年」
小・中学生対象の午前の全体会は、児童生徒の思い・考えをリレー形式で繋ぐ参加型セッションとして実施しました。子どもが学びをもとにどのような「自分の未来」を構想しているのかを主題に据え、参加したほぼ全ての学校からそれぞれの「未来」への構想や決意が意欲的に語られました。
同じ学びを経ても異なる点を引き取ろうとする様子や、複数人での話し合いを経た発表も見られ、「自分ごと化」の筋道の多彩さが際立ちました。中学生の発表者からキャリアを見据えた自らの人生への思いも語られる場面もあり、大人も含めて刺激と気づきのある時間でした。このセッションでは、小・中学生の自己意識の育ちや思考の深まりに対して、海洋教育が持つ可能性が示唆されたと言えるでしょう。
午後の部 全体会「海洋教育 これまでの10年とこれから」
高等学校・一般を対象とする午後の部の全体会は、趣の異なる2つのプログラムの複合セッションです。
前半は「海洋教育これまでの10年」として、海洋教育センターの活動を「海洋教育の歩み」と重ね合わせ、4つのトピックで提示することを試みました。取り上げたのは、①これまでに展開してきた海洋教育と学習指導要領との関わりの研究、②教員の資質能力育成プログラム、③海洋教育を協働で進める全国の学校との関係形成の意義、④現場支援に直接繋がる教材作成の蓄積の4点です。この10年で全国の実践者と共に蓄積した、海洋教育の進め方とそのためのリソースの「今」を、現在そして将来の海洋教育を担う参加者と共有する機会となりました。
後半は「海洋教育のこれから」として、高校生をパネリストおよび司会進行役に据えた参加型セッションで展開されました。パネリストがそれぞれの海洋教育実践を紹介した後、高校生からの提言を目指した活発な議論が交わされました。
海洋教育に熱い思いを抱く高校生同士が率直に語り合える場はまだ多くありません。表現方法も関心も多様ながら、熱量を持って話し合う高校生の様子は、こうした場の必要性と意義を示唆するに足るものでした。同時に、大人も「これから」に向き合うことへとそれぞれ新たに駆り立てられる時間となったと言えるでしょう。
【高校生参加型セッション「海洋教育のこれから」パネリスト(順不同、学校名のみ)】
・東京都立大島海洋国際高等学校
・福井県立若狭高等学校
・山陽学園高等学校(※司会進行を兼ねる)
・長崎県立長崎東高等学校
・鹿児島県立与論高等学校